2014年6月3日火曜日

春季リーグ最終戦

5/31  ◇国際基督教大学グラウンド 対東京海洋大学

I C U 104 002 06┃ 13
海 洋  000 111 1X┃ 4 (規定により8回コールド)


<試合総括>

2014年度春季リーグ最終戦。ICUは東京海洋大に9点差をつけての勝利となった。これで今季の勝率を五割に戻し、リーグ4位でシーズンを終えることとなった。

投げては藤原、柚原、吉田の三投手のリレーで海洋打線を三安打に封じ込めた。また3年の三宅と2年の日比がそれぞれ初安打を記録し、この試合が引退試合となった4年の野上が本塁打を含む3安打で猛打賞を達成した。



快音とともに飛翔した打球は、悠々と左中間を切り裂き、レフトスタンドへと突き刺さった。

8回の表、自身の大学野球最終打席。鋭く振り抜いた三球目を見事スリーランにしてみせた。
「自分に(打席を)繋いでくれた後輩たちの頑張りを無駄にしたくなかった。塁上の彼らを還してあげよう、ってその一心でした」

試合の流れは、決して良いわけではなかった。序盤に五点のリードを作るも7回までに三点差まで追い上げられる展開。戦局は、海洋大に傾きかけていた。

しかし、4年間ICUの中軸として打線を牽引してきた男は、試合の流れを渡さない覚悟と技量を兼ね備えていた。

「これで最後になるかも、というのはネクスト(バッターズ・サークル)にいる時から思っていた。だからこそ、最高の形で、両親をはじめ4年間応援してくれた人みんなに感謝を伝えられてよかったと思う。」
ダイヤモンドを一周してきた野上は満面の笑みでこう話してくれた。
「最高のチームで、最高の仲間たちと野球ができたことを誇りに思います。引退試合もみんなで勝てて、後輩たちの初安打も見れて、今日は幸せで胸がいっぱいです」

常にチームのこと、チームメイトのことを考え、他者への「感謝」を第一に戦ってきた野上。そのプレーは観る者全員に興奮と感動を与えた。それはただ彼の野球技術が高いからだけでなく、彼の人となりが一つ一つのプレーに顕れていたからだろう。

チームとして野上が引退することは非常に惜しまれるが、彼が4年間で後輩たちに残していった「人としての、選手としての在り方」というお手本は、これからチームを牽引する若者たちの心にしっかりと残っただろう。それは一人の人として、そして野球選手として彼らが成長する上で必要不可欠な鍵となるはずだ。

野上大という一人の男が残した足跡は、風化し消えることなく、しっかりとICU野球部の歴史に刻まれた。