2013年5月27日月曜日

目標、儚き夢と散る

5/25 ◇東京海洋大学グラウンド 対東京電気大学

I C U  000 000  ┃ 0
電 気    022 502  ┃11

(規定により、7回コールド)


<試合総括>

国際基督教大学 対 東京電機大学の2回戦、電気大の圧倒的な強さの前にICUは為す術もなく屈してしまった。



この日の相手は優勝候補の電気大。ICUが勝てば同率首位も現実味を帯びてくる試合だった。

しかしこの日、ICUの出塁は、三善の二度の四球と水野の死球の計三度のみ。他の打者は、豪腕・東條を有する電気大投手陣に完全に抑え込まれ、文字通り手も足も出なかった。

投手陣も、先発・熊谷が3回までに被安打5の失点4、リリーフの藤原は3と1/3イニングを投げて被安打6の失点7とまさかの大乱調。

今シーズンICUが掲げていた「4部優勝・3部昇格」という目標は、無残にも砕かれてしまった。 


<コラム>
この日まで、ICUは僅かに残った「目標」を追いかけていた。自分たちが負けなければ、プレーオフに駒を進められるかも知れない、と。

しかし、その希望は、ICU打線のノーヒット・ノーランという形で潰えてしまった。

「目標」を失った者、目指すべき物をなくしたチームは無気力になりやすい。特に4部リーグには「残留」・「降格」をかけた戦いが無いだけに、その可能性は大きい。

しかしながら、ICUの春季リーグはまだ終わってはいない。リーグ最終戦が6月1日に控えている。

この試合をただの消化試合として終わらすのか、何か意味のある試合にするのかは、選手それぞれの意識次第である。

忘れてはならないのが、この最終戦が春季リーグの最終戦であると同時に、長い間チームを牽引してきた選手・スマイリー航の大学野球人生の最終公式戦である、ということだ。

試合を全力で戦い、先輩に贐をするのか。なあなあに消化し、何の記憶にも残らないものとするのか。

決断の時は、もうすでに来ている。

2013年5月20日月曜日

ICU快勝! 鵜飼バースデイ猛打&松村初づくし


5/19 ◇東京海洋大学グラウンド 対東京海洋大学

I C U  002 070 001 ┃10
海 洋    102 100 200 ┃ 6


猛打賞:鵜飼(背番号6=内野手)、航(背番号50=外野手)


<試合総括>

国際基督教大学 対 東京海洋大学の2回戦は、逆境を跳ね除けたICUに軍配が挙がった。


猛打賞。自らの誕生日を飾った鵜飼得意の右打ちは、未だ僅かに残る「優勝」の可能性を繋げる原動力となった。

試合開始直後からエンジン全開だった。6打席中、チャンスで打順が回ってくることが3回、先頭打者として打席に立つことが2回。ケース・バイ・ケースの打ち分けが冴えていた。結果安打が3本に四球が1つ。相手の失策も含めればこの日は6打席中5つという驚異の出塁率だった。

「いや、マジよかった。」 試合後、鵜飼は顔を綻ばせた。
「チャンスで打てたのもそうだけど、でも、(チームが)勝てて本当によかった。」

ここで負ければ完全にICUの優勝が消滅するという大一番、あくまでも「勝ち」にこだわった勝負師の満面の笑みには、ほのかに安堵も感じられた。



4年生が大活躍すれば、ルーキーも躍動した試合だった。

この日、初スタメンマスクを被った1年・松村が持ち前の長打力を発揮した。
二回の第一打席、「ミートに徹しました。凡退したくなかったので」と軽打した6球目は悠々と左中間を破る二塁打となった。5回には適時打を放ち、マルチ安打を達成。

「初スタメン、初長打、初打点っすよ。ちょー嬉しい。」

これからも、ICUの新しい大砲候補に期待がかかる。


<コラム>

「立役者」がいれば、かならず「縁の下の力持ち」がそれを支えている。
この日の「立役者」が鵜飼・松村ならば、「縁の下の力持ち」は4年・サードの三善だろう。

この試合はヒットこそ1本だけだったものの、出塁は5打数の4。
5回の大逆転でも一役買っている。

しかし何よりも賞賛されるべきは、その安定した守備力である。ライン際の難しい打球も、あたかも普通のサードゴロのように難なく捌いてしまうそのポジショニングは圧巻である。

この日も、5回裏に二死二塁のピンチを迎えた場面があった。ヒットが一本出れば1点取られてしまう場面、大量得点した後だけに1点もやりたくないその場面で、海洋の6番・木村が三塁ライン際への鋭い当たりを放つと、三善はすかさずダイビングキャッチを決行した。

惜しくも完全捕球には至らず、結果は失策と記録されてしまったが、打球を内野で止める事には成功した。あれが抜けていれば確実に1点は持って行かれ、なお二死二塁でピンチが続いていただろう。流れが悪くなり、再逆転されてしまっていたかも知れなかった。
エラーになってしまってもいいから、絶対に、打球に内野は抜かれない。

そのひたむきな守備への思いが、今回のICUの勝利を呼び込んだと言っても過言ではないだろう。















2013年5月6日月曜日

勝って兜の緒を締めよ


5/4 ◇国際基督教大学グラウンド 対帝京科学大学


I C U  100 010 0 ┃2
帝 科    1000 113 0 ┃15 


<試合総括>
国際基督教大学 対 帝京科学大学二連戦の二日目は、帝京科学大学が一日目の雪辱を果たした形となった。ICUは散発三安打。

一日前の歓喜ムードはどこへやら、初回の守りからグラウンドに重たい空気がのしかかった。5つの四死球に4つの失策、そこに4安打を打ち込まれ、気づいてみれば10失点。点差が開くにつれて、内野陣は焦り、外野陣は慎重になりすぎた。

初回の4つの失策のうち3つは内野のエラー。早く一つでも多くのアウトを取りたいと逸る気持ちが、逆に点差を広げることに繋がった。
外野は、一つの落球から、守備位置より前方に落ちてくるフライに慎重になりすぎた。確かに、ミスが許されない場面。突っ込んで行って後逸してしまえばヒット1本で走者一掃、といったことも考えられた場面だ。しかし直接捕球しなければ走者は溜まるばかり。流れもどんどん悪くなる。それならばいっそ、ギャンブルに出る事も必要だったかも知れない。

ICUはこの日、1回の表の攻撃時に鵜飼の激走と正木の正確なバントで先制したが、主導権は、完全に帝科大が握る事となった。ICUはその後、1点を返すことが関の山だった。


<コラム>

屈辱的、という言葉は、この日の戦いを表すには安易すぎるだろうか。
前日にコールド勝ちした相手に、コールド負けを喫する。しかも、前日の自分たちは最少得点差で逃げ切ったのに対して、この日は13点もの得点差をつけられてしまった。しかも、その内10点は一つの回で奪われた。

個々の反省は、各々あると思う。だからここでは、一つだけ、チーム全体の事を反省したい。


「勝って兜の緒を締めよ」

しばらく負けが続いていた中で、連戦の初日を勝てて喜ぶのは、別に悪いことではない。相手に対して良いイメージを持って試合に臨むのも、大いに結構である。しかし、少しでも相手のことを侮ると、このような結果になってくる。

勝ったら、喜ぶ。でも、勝っても、気は抜かない。試合は何が起こるか分からない。

これでICUの負けは3。優勝への道はかなり険しいものとなった。もう負けられない。
だからこそ、1つ勝ったら、そこで気持ちをリセットしよう。

もう、毎試合気持ちを整えて勝利するしか、選択肢は残されていない。


2013年5月4日土曜日

追撃を振り切って

4回、適時三塁打を放つ小林

5/3 ◇国際基督教大学グラウンド 対帝京科学大学

帝 科  000 000 5 ┃5
 I C U      100 712 1 ┃12 (規定により7回コールド)


<試合総括>
国際基督教大学 対 帝京科学大学の2連戦、初戦はICUがコールド白星発進をした。

四回、待望の快音が大砲・小林のバットから響いた。昨年春シーズンにはICUの3部残留を決定づける一打を放った男のバットは、このところ湿り気味だった。そのためこの回も四球で藤原が出塁すると、小林に出されたサインは「送りバント」。ところがバントを決めることができず、ツーバント失敗で追い込まれてしまう。
何としても進塁打が欲しい場面、ヒッティングに切り替え振り抜いた3球目に、一瞬でベンチの「またか」という重いムードが「まじか」という歓声となった。小林の放った打球は外野の頭を越える適時三塁打となり、これがビッグイニングの呼び水となった。

その後ICUは石黒の二塁打でこの回2点目を入れると、四球・進塁打により一死一・三塁の好機を作る。ここも鵜飼がしぶとく内野安打を決めもう1点を追加。なおもランナー一・二塁の場面で正木が四球で出塁し、一死満塁の大チャンスでICUの安打製造機、柚原へと打順が回る。そしてこの男も期待を裏切らなかった。振り抜かれた打球は走者一層のタイムリーとなり、相手のエラーも絡んで自身も生還。この回、一気に7点をあげたICUは完全に試合の主導権を握り、7回に帝科の反撃にあうもそれを振り切り、コールド勝ちに成功した。


<コラム>

この試合は、相手の隙を見逃さない積極的な走塁から流れを作った。
特に、初回の送りバントからがら空きの三塁を陥とした鵜飼の走塁は相手投手の出鼻をくじく勝利への布石となり、最終回に相手守備の隙をついて三塁を陥れた藤原の判断はコールド勝ちにはなくてはならないものだった。
前のコラムにも書いたが、相手チームは必ず何かしらのミスをする。それを見落とさないこの試合のような積極走塁は相手のペースを崩し、自分たちの好機を作る。帝科とのカードは連戦となり体力的・精神的にきついものとなることが予想されるが、持ち前の「積極性」を活かせば、連勝も十分狙えるだろう。