2013年11月7日木曜日

引退試合、殊勲の一打


11/4  ◇国際基督教大学グラウンド 対電気通信大学


電 通   200 030 011┃7
I C U 120 100 002┃6

<試合総括>

渾身の一撃は、左中間を真っ二つに切り裂いた。

9回裏。宿敵・電気通信大学に2点差をつけられ迎えた自身の大学野球最後の打席。

「それまでは正直、打てそうな球がなかった。インコースの真っ直ぐに外のスライダー。全部決められてた。だけど、あの一球だけ、あまく入ってきたんだよね」

迷いなく振り切った6球目は走者一掃の二点適時三塁打となった。

「自分でも驚いた。人生最後の公式戦で人生一番の当たりだった。」

そう振り返る鵜飼の目尻には、一粒の小さな雫が光っていた。

試合は電通大に後一歩及ばす、一点差の惜敗となった。

<コラム>

大学野球人生を締めくくるのに、こんなにも絶好の試合はなかっただろう。

奇しくもICUの文化祭当日に、雨天延期となっていた今シーズン最終試合、そして過去4年間に渡り国際基督教大学硬式野球部を支えてきた4人の選手の引退試合が行われた。


4部からの昇格、5シーズンの3部での熱戦。そして4部再降格。
紆余曲折に満ちた大学野球人生のピリオドを、ホームグラウンドで、観衆の声援を受けながら打つことができた。






2013年10月29日火曜日

ICU猛攻 久々の二桁得点で圧勝!

10/27  ◇国際基督教大学グラウンド 対文京学院大学


文 京    010 012 0┃4
I C U  001 409 X┃14  (規定により7回コールド)


<試合総括>

ICU-文京学院大の2回戦は、9月23日以来ほぼ一ヶ月ぶりの二桁得点をあげたICUが圧勝した。

内野安打、二塁打、三塁打、スクイズ...
変幻自在の攻撃パターンで圧倒した。大幅に打線を組み替えて臨んだこの試合。起点となる選手の配置が功を奏したのか、誰から攻撃が始まっても打線が途切れる事がなかった。三者凡退したのは初回のみ。チーム全員で勝利をもぎ取った。

特に柚原は3安打猛打賞、谷口はこの試合の出塁率10割に3盗塁とチームの勝利に大きく貢献。このところバットが湿りぎみだったキャプテン・石黒も、6回にレフトオーバーのタイムリーツーベースを放ち、復調の兆しを見せた。

この日ICUが打った12本のヒットのうち、一年生と二年生が打ったものが8本。来シーズンに向けて着実に成長している若手選手の活躍が勝利を呼び込んだ。

2013年秋シーズンは残すところあと1試合。今季で引退する4年生のためにも、最終戦は笑顔で締めくくりたい。



2013年10月21日月曜日

疾走!蒼き"忍者"

10/19  ◇東京海洋大学グラウンド 対帝京科学大学


I C U    201 101 0 ┃ 5
帝 科     420 006 x ┃18 (規定により7回コールド)


<試合総括>


ICU-帝京科学大学の2回戦は、打線が大爆発を起こした帝京科学大学が13点差をつけ圧勝した。
柚原は3安打猛打賞の活躍。


2季連続のタイトル獲得に向けて、颯爽とダイヤモンドを駆け回った。

相手チームの選手に「忍者」として恐れられる柚原。この日も5つの盗塁を決め、今シーズン累計盗塁数を16とした。目標としている「シーズン20盗塁」まであと4つ。試合後に、後2試合しか残っていないがと聞くと、ニヤリと笑って一言。

「2試合?やるしかないでしょ」。

彼の目には既に栄冠を掴んだ自分の姿が見えているのだろう。

また、この日3本のヒットを打ったことで累計安打数も16となったことを伝えると

「いやー、(ヒット)20本打ちたいですね。」と "1シーズン20安打20盗塁" という目標を掲げていたのだと明かしてくれた。


春秋連続盗塁王への挑戦は、今週末の2連戦での結果が大きくものを言う。

「シングル打たないとなー。じゃないと盗塁しづらいし」と冗談を飛ばしていた柚原だが、彼ならたとえツーベースを打っても、今まで通り、難なく三塁を陥落させるだろう。


ICUのユニホームを身に纏った "蒼き忍者"の今シーズン最後の疾走から目が離せない。


2013年10月18日金曜日

一回戦の雪辱へ VS 東京工科大

10/13 ◇国際基督教大学グラウンド 対東京工科大学


工 科    030 014 003┃11
I C U  000 001 702┃10


<試合総括>

ICU-工科大の二回戦。ICUは一回戦で大量得点差を埋められ引き分けに持ち込まれた相手への雪辱を誓ったが、あと一歩手が届かず1点差の惜敗となった。


いつも通りの「コールド負け」ペースだった。6回までに8失点。案の定打線も繋がらず、工科大先発の高橋の前に散発3安打1得点と苦しい状況に立たされていた。

しかし、この日はその流れに飲み込まれなかった。勝負は7回の裏。代打出場の松村がライトへの安打で出塁すると、続く三善がセーフティバントを決め無死一・二塁とチャンスを拡大。その後もエラーと四球などで押し出しの1点をもぎとり、なおも場面は無死満塁。
ここから谷口、正木、柚原、野上の4人が立て続けに適時長短打を放ち、怒涛の勢いでもう6点を追加し、この回7得点のビッグイニングを作った。

続く8回はICU、工科大ともに無得点に終わり、同点のまま9回へ突入。

3点リードを許した9回裏、先頭打者の正木はライトオーバーの安打を放ち、返球の隙をつきランニング・ホームランを試みるもギリギリのタイミングで捕殺され一死ランナー無しとICUは苦境に立たされる。
しかし、ICUは最後まで粘りを見せる。

続く柚原はライトへの安打で出塁すると2盗・3盗を決めチャンスを拡大したかと思えば、相手投手の暴投の間に生還。2点差まで追いつくと、続く野上、小林も四球で出塁し一死一二塁とチャンスを維持。7回に代打した松村の代わりに守備に着いた6番・熊谷のサードゴロで二死一三塁と走者を進めると、7回のビッグイニングに貢献した三善がタイムリーを放ち1点差まで追いつくが、次が繋がらず、ここで試合終了となった。

勝利して一回戦の雪辱を果たすまでにはいかなかったが、「負け試合」の雰囲気を覆し、最後まで粘る泥試合ができたという事実は、ICUの今後の推進力になるのではなかろうか。



<コラム>

日頃から、スポリチを読んでくださっている皆様、

この度は更新が1週間近く遅れてしまい、申し訳ありませんでした。

これからは、通常通り試合日かその翌日には更新できると思います。

これからも、スポリチを宜しくお願いします。


三宅利智










2013年10月8日火曜日

失速のICU

10/6 ◇国際基督教大学グラウンド 対東京海洋大学


I C U    101 000 000 ┃2
海 洋     000 011 12X┃5 


<試合総括>

ICU-海洋大の2回戦は、ICUが先手を取るものの終盤に海洋大の追撃に会い逆転を許してしまった。ICUは8回に一死満塁の再逆転の好機を作るが打線が決め手を欠き、得点することができなかった。

先発した藤原は6回8奪三振と好投を見せた。


<コラム>

「歯痒い」と表現するのが一番だろう。

初回、3回、4回、5回、8回、そして9回。いずれの回にも走者を得点圏に進めていた。しかし得点できたのは初回と3回に1点ずつだけ。

リードを広げる準備、再逆転のお膳立てはできているのにあと一本が出ない。

他にも悪走塁、失策、サインミスなど反省材料の多い試合だった。ICUが以前から悩まされてきた「自滅」。この日もまた、繰り返してしまった。

この試合の結果によりICUの自力優勝は消滅してしまったが、キャプテンの石黒は最後まで順位にこだわることを次のチーム目標として掲げた。

今シーズン残されたのは4試合。チームは、選手は、何を考え何を反省し戦うのか。一つでも順位を上げるために自分は何をしなければならないのか。

今一度立ち止まって再考しても良いかもしれない。





2013年9月30日月曜日

ICU、首位電通大に屈辱のコールド負け

9/28 ◇国際基督教大学グラウンド 対電気通信大学


I C U    010 010 0 ┃2
電 通     200 111 4 ┃9 (規定により7回コールド)


<試合総括>


ICU-電通大の首位攻防戦は、電通大の7回の猛攻にICUが突き放される結果となった。

ICU打線は散発2安打。四球で出した走者は10人いたが、もらったチャンスを活かしきれなかった。

椛島は3打席立って1安打1犠打1四球の活躍。


<コラム>

「点差」と「回」へ意識がまわっていなかったのかもしれない。

7回の表が終わった時点で2-5。点差は僅かに3点。確かに逆転できない点差ではなかった。

と同時に、「3点」というのは「7回」以降、「もう4点取られたら試合終了」という点数でもある。

コールド規定に「7回以降7点差以上」とある以上、「3点差」というのは「7点差」の半分近くを相手に取られている、ということでもある。そして実際、この日は7回の裏に4点を追加され負けてしまった。


この日の試合結果により、「優勝」を目指すならばもう負けてはいられなくなったICU。
これからの残り5試合は、たとえどんな劣勢に立とうとも、「コールド」を宣言されてしまってはもったいない。野球というスポーツは9回まで攻撃がゆるされているのだから、貪欲に逆境を撥ね除けていけば勝機が見いだせるはずだ。

「点差」と「回」にまで頭をまわす。試合中、その冷静さを保てるかどうかが今後の明暗を分けそうだ。


2013年9月24日火曜日

壮絶な泥試合。 ICU、大量得点もドロー

9/23 ◇東京海洋大学グラウンド 対東京工科大学


I C U  251 050 100 ┃14
工 科    001 030 820┃14 

(試合時間が3時間を越えたため、規定により9回で試合終了)


<試合総括>

昨日行われた東京工科大-ICUの1回戦は、ICUが序盤に大量リードをするも終盤に工科大に追いつかれ、引き分けに終わった。
ICU主砲の野上は6打数3安打の活躍。今季始めて1番を打った鵜飼は驚異の出塁率10割を叩き出し、チャンスメークに貢献した。



<コラム>

時間切れ。そして引き分け。全勝優勝を目標に掲げていたICUには悔しい結果となった。
これで開幕からの連勝は3で止まったのだが、ここで一度立ち止まって頭を整理しておきたい。

今シーズンのICUの最大にして最終的な目標は「3部再昇格」である。その目標達成のために必要な条件が「リーグ優勝・入れ替え戦出場」、そして「入れ替え戦優勝」だ。

リーグ優勝を果たすためには、言うまでも無く勝ち星を他大学よりも多く積まなければならない。仮にシーズン10試合全てに勝利できれば、優勝はほぼ確定したようなものである。

しかし、昨日の結果によりICUの「全勝」はなくなった。それならば次なる「リーグ優勝」のための手立ては何か。

それは「負けない」ことである。今日までのICUの成績は3勝0敗1分け。今シーズン未だ敗北を喫していない。それならば「9勝0敗1分け」で優勝すれば良い。今週末には現在1ゲーム差で首位を走る電気通信大学との直接対決が控えている。この直接対決が優勝への鍵となるだろう。

「3部再昇格」の目標達成に向け、「無敗優勝」を達成できるか。
良い緊張感を持って、この土曜日に臨みたい。



2013年9月23日月曜日

投将が魅せた!熊谷9回完投勝利

9/22 ◇国際基督教大学グラウンド 対帝京科学大学



帝 科    010 200 000┃3
I C U  320 000 10x┃6 


<試合総括>

ICU-帝京科学大学一回戦は、相手の隙をしたたかに突く走塁で好機を逃さなかったICUが帝科大の追撃をしのぎ、勝利を挙げた。
ICU先発の熊谷は9回3失点で完投勝利。



「ストラックアウト」のコールを聞き、大きな息を一つ吐いてマウンドを駆け下りた。

決して楽な試合ではなかった。毎回のように走者を背負い、「逆転負け」の文字が頭をよぎることも何度もあった。しかし彼はその重圧に屈しなかった。我慢我慢の投球で5回以降は走者を出すも無失点ピッチング。帝科大の反撃を許さなかった。

勝負は6回の攻防だった。ツーアウトから帝科大・島崎にエンタイトルツーベースを打たれ、続く渡辺を死球、蜂須賀をセカンドのエラーで出塁させてしまい、二死満塁のピンチに追い込まれた。

ヒット1本で同点に追いつかれてもおかしくない場面、「みんなの声で気持ちを保って投げきれた」と試合後に語った熊谷は、帝科大・3番の種市を三球三振に討ち取り、勝利の足場を固めた。


熊谷の奮闘で3連戦の2日目も勝利で飾ったICU。ここまで来たら、3日目も勝利あるのみ、である。





<コラム>
昨日の試合、もう一つ見逃せないのが1・2年生の若手選手の活躍だ。特にこの試合で成長の片鱗をみせたのが今季初スタメンマスクを被った松村と、外野手・水野だった。

先発熊谷の恋女房役をつとめた松村はその安定したキャッチングで投手を支えた。熊谷の投球を一度も逸らすことなく受け止め、流れを失いやすいパスボールによる失点をしなかった。


水野は2回、2死満塁の場面で帝科大・渡辺の打球を好返球。本塁へ突入していた佐野を捕殺しこの回を最少失点で切り抜けた。


ここまで開幕から負けなしのICU。全勝優勝に向けて若手の台頭は大きな推進力になるだろう。


2013年9月21日土曜日

魔の三連戦。 初戦はいかに...?

9/21 ◇国際基督教大学グラウンド 対東京海洋大学



海 洋    101 000 0   ┃2
I C U  007 202 X ┃11 (規定により7回コールド)


<試合総括>

ICU-東京海洋大の1回戦。ICUは先発選手全員安打を達成し、計14本の長短打で海洋大先発の休波を打ち崩した。
ICUは先発登板した柚原が被安打1で完投した。


反撃の狼煙は、4番の一振りだった。

初回に与えてしまった先制点が二度の失策によるものだったからか、はたまた直前の守備時の判定への不服を処理しきれなかったためか、ICUベンチには重たい靄(もや)がかかっていた。

しかし3回、二死満塁の場面。フルカウントまで追い込まれた野上が振り抜いた6球目は、ICUの険悪なムードを掻き消す適時二塁打となった。
このタイムリーを皮切りに、鬱憤が晴れたICU打線は大爆発を起こす。

続く鵜飼がしぶとく四球を選べば、谷口、小林、石黒の3選手が立て続けにタイムリーを放ちこの回一挙7得点。打者一巡の猛攻が一気に流れを呼び込んだ。

味方の大量援護をもらった柚原は、4回以降無失点の好投を見せた。

明後日23日まで続く「魔の三連戦」。初戦コールド勝ちは、チームにとって大きな弾みとなった。


<コラム>

今日の試合を振り返ると、柚原が討ち取った相手打者の多くが「内野ゴロ」と「内野フライ」に倒れていることが分かる。実に打者29人に対して外野まで打球を運ばれたのはたったの4回だ。しかもそのほとんどが強い打球ではなくバットの芯を外したフライだった。

投手を本職としない柚原がなぜセーフティバントによる被安打ひとつだけで海洋打線を押さえ込めたのか。

もちろん彼の身体能力の高さも一つの理由だろう。しかし今日の勝利は、彼と捕手・小林による相手選手の細かい分析によるものに他ならないと思う。

先シーズンまでの打者データやビデオをもとに、相手チーム一人一人の特徴を掴む。なかなか手間のかかる作業ではあるが、しかし、その膨大なデータが頭にあるからこそ、それが試合本番でのバッテリーの息の合ったプレーに、つまりは配球を通した「討ち取り方」活きてきたのだ。

今日の試合は、バッテリーの「研究勝ち」と言っても過言ではないだろう。



2013年9月9日月曜日

猛攻17得点! 頂きに向けて白星スタート

9/8 ◇国際基督教大学グラウンド 対文京学院大学


I C U  510 002 63  ┃17
文 京    200 121 20  ┃ 8 (規定により8回コールド)



<試合総括>

昨日行われた ICU - 文京学院の1回戦は、2度のビッグイニングを作り乱打戦を制したICUに軍配があがった。

ICUはこの日、16個の盗塁と12本の長短打で文京学院大学を圧倒した。特に3番・柚原と4番・野上のクリーンナップコンビが持ち前の勝負強さを発揮し、柚原は3安打、野上は4安打と、共に猛打賞の活躍を見せた。

ICUの先発藤原は、ほぼ毎回走者を背負うものの粘りの投球を見せ、文京打線にビッグイニングを作る隙を与えなかった。

試合前にキャプテンの石黒は「どこが相手でも全力で潰しに行くだけ」と選手陣を鼓舞していたが、投打が噛み合い一丸となったICUのチームプレイは、初戦を白星で飾る原動力となった。


<コラム>

「1年生が成長を、4年生が円熟を見せる試合」

これこそがICUの勝利への鍵であると、昨シーズンの暮れ、部長の西村教授はチームに伝えていた。

この日のICUは、まさに1年生がひと夏をかけて成長した姿を見せ、そして4年生が今まで培ってきた経験を活かしていた。

1年生の柚原、正木、谷口の3人はそろって出塁が2つ以上。また3人全員が出塁後に盗塁を決めるなど、チャンスメークがしっかりとできるようになった。

4年生は佐久間・野上を筆頭にICU打線に活気を与え、三塁手つとめた三善はその安定した守備力で先発の藤原を支えた。
5番・DHで出場した鵜飼がその選球眼を活かし、死球を含めこの日実に5つの出塁を勝ち取れば、復活に期待がかかるバットマンの小林も7回にサードへの痛烈な当たりを放つなど復調の兆しを見せた。

2013年秋シーズン。全勝優勝を狙うICUは持ち前のチーム力を武器に、4部リーグの頂きへと切り込んでいく。


2013年9月5日木曜日

立ちはだかる東都の壁

9/3 ◇国際基督教大学グラウンド 対東京工業大学



東 工    000 521 604  ┃18
I C U  001 000 300  ┃ 4


<試合総括>

東都大学野球リーグの壁がICUの前に立ちはだかった。

ICUは3日、秋季リーグの前哨戦として東都大学野球リーグ4部所属の東京工業大学との試合を行った。

ICU先発の藤原は3回までは危なげないピッチングで東工大打線を封じていたものの、4回に四死球絡みの走者を溜めて5失点。完全にペースを持って行かれた。

打線は3回に佐久間のタイムリーツーベースで先制するものの、その後6回まで無得点。7回に3点を返すも、2桁特点をした東工大に追いつくには至らなかった。


秋季リーグ初戦は8日の対文京学院大戦。この前哨戦で学んだことを糧にして勝ちに繋げていきたい。

2013年9月1日日曜日

ICU夏期合宿 最終日

3日間の合宿が終わり、ICU野球部のメンバーは茨城県神栖市から三鷹へと戻ってきた。
部員たちの小麦色に焼けた肌は、3日間の猛暑日を乗り切った証だ。

新キャプテンの石黒は合宿を締めくくるにあたって、メンバーの奮起を求めた。
「この合宿で、チーム一丸となって闘うという意識の共有ができたと思う。」

ICU野球部夏期合宿 茨城県神栖市にて
ICUの夏の課題、それはチームプレイだった。共闘するとはどういうことか。3日間の猛暑日の鍛錬で共に汗を流した選手たちは、それぞれに思うところがあっただろう。

「今の外野陣は頼り甲斐がある。安心して投げることに専念できる」
最終日の実践練習中、右翼・佐久間の好捕を見て、投手をつとめた藤原はこうつぶやいた。

自身のベストを尽くして、周りのチームメイトを支える。自分の精一杯のプレーが、自然と周りを安心させる力となる。
夏の課題の解答は、選手それぞれの心に、しっかりと刻み込まれたはずだ。

ICUは9月3日に最後のオープン戦を控えている。また8日からは秋季リーグが開幕する。
課題の解答を手に、ICU野球部は3部再昇格をかけた戦いへ乗り込んでいく。



2013年8月31日土曜日

ICU夏期合宿 2日目

最高気温34度。真夏の暑さが残るグラウンドで8時間半に及ぶ野球漬けの一日を送ったICU野球部の面々は、疲労の蓄積した身体を引きずりながらも、しかしどこか充実した表情で球場を後にし、宿舎へと戻っていった。

来季から捕手に加えて三塁手にも挑戦する1年・松村は炎天下の三塁特守を受け、「サード特有の強い打球。なかなか慣れないものがあった」と顔をしかめた。左右にノックの打球を振られ、捕球し損ねる場面もあった。「でも、飛び込んだり逆シングルで(ライン際の打球を)取れたりした時のみんなの歓声とか応援とかが嬉しくて、どんなに暑くても辛くても頑張れました。」
上級生とのポジション争いは熾烈だが、次世代の長距離砲は活躍の場を求めて自身の可能性を広げようと必死だ。


合宿は残すところ後1日。全力を振り絞って、笑顔で夏を締めくくりたい。

2013年8月30日金曜日

ICU夏期合宿 1日目

幼い頃、夏休みの宿題を最後までとっておき、休み明けのテストで散々だった。そんな思い出は誰しも経験したことがあるだろう。残っている課題を克服できないまま夏を終えると、ちょっぴり寂しい秋の訪れが待っている。

ICU野球部も、春シーズンは多くの課題を残した。
3部再昇格を目指すチームは、手元に残った宿題を片付けるため、昨日から3日間の集中合宿に入った。

初日の守備練習を終えて、昨シーズン盗塁王のタイトルを獲得した柚原は、「高校1年以来の合宿。懐かしさもあるが、体力の衰えも感じた」と自身のコンディションを再確認した。「守備力の向上。ピッチングでの制球力を上げるために下半身を使ったフォーム固めに、バッティングのタイミングの取り方を修正すること。それがこの合宿の目標ですね」と、3日間の鍛錬に意欲を燃やす。この若武者は、しかし現状には満足していない。「春シーズンは自分の持ち味を存分に発揮できなかった」。来季は打って走って、スピード感のあるプレーをしたいと抱負を語ってくれた。

タイトルについて聞くと、「首位打者は取れたら嬉しいが、でも、自分は打率を気にするよりも誰よりも安打を打ちたいと思う」と、チャンスメーカー/ポイントゲッターとしての活躍に重点を置くのだと張り切っていた。


来シーズンに向け、着実に動き出しているICU。そして合宿は残り2日。夏までの課題を片付けて、気持ちの良い秋の始まりを迎えたい。

2013年6月4日火曜日

負けてたまるか! 正木、意地の4安打猛打賞

6/1 ◇国際基督教大学グラウンド 対電気通信大学

I C U  000 003 200  ┃5
電 通    003 030 00X  ┃6

盗塁: 三宅(38=外野手)、 柚原(56=内野手)、正木(17=内野手)、三善(13=内野手)
猛打賞: 正木(17=内野手)

<試合総括>

国際基督教大学 対 電気通信大学 によって行われた東京新大学野球リーグ、4部リーグ春季最終戦は、ICUが0-6から怒涛の追撃をみせるも、最後の1点を守り抜いた電気通信大学に軍配があがった。

序盤から苦しい展開が続いた。 ICUは3回まで毎回得点圏に走者を進めるも、そのあとが続かなかった。3回裏に電通に先制され、5回にもダメ押しの3点を追加されてしまった。

そのような中で勝利を諦めず、大きな結果を残した男がいた。 1年の正木だ。

先制された直後の4回、石黒・柚原がそれぞれエラーで出塁すると、得意のセーフティーバントを決め、無死満塁のチャンスを作れば、6回には先頭の柚原に続くヒットと盗塁で無死二・三塁のチャンスメーク。7回には無死二塁からの安打で打点をあげた。

その後9回にも安打を放ち、振り返れば5打数の4安打。試合後、自分の結果に驚いた正木は、「マジっすか?全然意識してなかった」と思わず笑みをこぼした。


<コラム>

この試合をもって、現3年生の代が終わった。昨年秋シーズンから主将を務めた熊谷は、試合後のミーティングで、来シーズンへの奮起を訴えた。

「悔しさを忘れないでほしい。3部から落ちた悔しさ、部員がいなかった悔しさ、試合に負けた悔しさ。毎回の悔しさを忘れないで。その悔しさから自分の反省をして、次の試合に繋げて欲しい。」

今シーズン、3部への再昇格を目指して戦ってきたICU。しかし、それを阻んだのは、四球や失策から相手に点を渡し、流れを失って自滅する試合だった。今季負けてしまった5つの試合は、そのほとんどが勝てないものではなかった。

昨年3部で大幅に負け越した、「負けるのが当たり前」なチームでは、もうない。人員も揃い、力も付いたチームとなった。だからこそ、今季の結果が非常に悔やまれるのである。

部長の西村馨教授は、「基礎力」の底上げこそが勝利の鍵だと指摘する。1試合ごとに良い試合をする、自滅しない為の練習。若い1年生が伸びを、最高学年の4年生が円熟を見せる試合。それができないチームではないし、むしろそれぞれのポテンシャルの高さから、これからが楽しみなチームだ、と。


これからは、現2年生がチームの中軸となる。今までの経験を、悔しさを、どう日々の練習に活かすのか。またどのような試合作りをするのか。

3部再昇格を目指す秋季リーグへの戦いは、もう始まっている。







2013年5月27日月曜日

目標、儚き夢と散る

5/25 ◇東京海洋大学グラウンド 対東京電気大学

I C U  000 000  ┃ 0
電 気    022 502  ┃11

(規定により、7回コールド)


<試合総括>

国際基督教大学 対 東京電機大学の2回戦、電気大の圧倒的な強さの前にICUは為す術もなく屈してしまった。



この日の相手は優勝候補の電気大。ICUが勝てば同率首位も現実味を帯びてくる試合だった。

しかしこの日、ICUの出塁は、三善の二度の四球と水野の死球の計三度のみ。他の打者は、豪腕・東條を有する電気大投手陣に完全に抑え込まれ、文字通り手も足も出なかった。

投手陣も、先発・熊谷が3回までに被安打5の失点4、リリーフの藤原は3と1/3イニングを投げて被安打6の失点7とまさかの大乱調。

今シーズンICUが掲げていた「4部優勝・3部昇格」という目標は、無残にも砕かれてしまった。 


<コラム>
この日まで、ICUは僅かに残った「目標」を追いかけていた。自分たちが負けなければ、プレーオフに駒を進められるかも知れない、と。

しかし、その希望は、ICU打線のノーヒット・ノーランという形で潰えてしまった。

「目標」を失った者、目指すべき物をなくしたチームは無気力になりやすい。特に4部リーグには「残留」・「降格」をかけた戦いが無いだけに、その可能性は大きい。

しかしながら、ICUの春季リーグはまだ終わってはいない。リーグ最終戦が6月1日に控えている。

この試合をただの消化試合として終わらすのか、何か意味のある試合にするのかは、選手それぞれの意識次第である。

忘れてはならないのが、この最終戦が春季リーグの最終戦であると同時に、長い間チームを牽引してきた選手・スマイリー航の大学野球人生の最終公式戦である、ということだ。

試合を全力で戦い、先輩に贐をするのか。なあなあに消化し、何の記憶にも残らないものとするのか。

決断の時は、もうすでに来ている。

2013年5月20日月曜日

ICU快勝! 鵜飼バースデイ猛打&松村初づくし


5/19 ◇東京海洋大学グラウンド 対東京海洋大学

I C U  002 070 001 ┃10
海 洋    102 100 200 ┃ 6


猛打賞:鵜飼(背番号6=内野手)、航(背番号50=外野手)


<試合総括>

国際基督教大学 対 東京海洋大学の2回戦は、逆境を跳ね除けたICUに軍配が挙がった。


猛打賞。自らの誕生日を飾った鵜飼得意の右打ちは、未だ僅かに残る「優勝」の可能性を繋げる原動力となった。

試合開始直後からエンジン全開だった。6打席中、チャンスで打順が回ってくることが3回、先頭打者として打席に立つことが2回。ケース・バイ・ケースの打ち分けが冴えていた。結果安打が3本に四球が1つ。相手の失策も含めればこの日は6打席中5つという驚異の出塁率だった。

「いや、マジよかった。」 試合後、鵜飼は顔を綻ばせた。
「チャンスで打てたのもそうだけど、でも、(チームが)勝てて本当によかった。」

ここで負ければ完全にICUの優勝が消滅するという大一番、あくまでも「勝ち」にこだわった勝負師の満面の笑みには、ほのかに安堵も感じられた。



4年生が大活躍すれば、ルーキーも躍動した試合だった。

この日、初スタメンマスクを被った1年・松村が持ち前の長打力を発揮した。
二回の第一打席、「ミートに徹しました。凡退したくなかったので」と軽打した6球目は悠々と左中間を破る二塁打となった。5回には適時打を放ち、マルチ安打を達成。

「初スタメン、初長打、初打点っすよ。ちょー嬉しい。」

これからも、ICUの新しい大砲候補に期待がかかる。


<コラム>

「立役者」がいれば、かならず「縁の下の力持ち」がそれを支えている。
この日の「立役者」が鵜飼・松村ならば、「縁の下の力持ち」は4年・サードの三善だろう。

この試合はヒットこそ1本だけだったものの、出塁は5打数の4。
5回の大逆転でも一役買っている。

しかし何よりも賞賛されるべきは、その安定した守備力である。ライン際の難しい打球も、あたかも普通のサードゴロのように難なく捌いてしまうそのポジショニングは圧巻である。

この日も、5回裏に二死二塁のピンチを迎えた場面があった。ヒットが一本出れば1点取られてしまう場面、大量得点した後だけに1点もやりたくないその場面で、海洋の6番・木村が三塁ライン際への鋭い当たりを放つと、三善はすかさずダイビングキャッチを決行した。

惜しくも完全捕球には至らず、結果は失策と記録されてしまったが、打球を内野で止める事には成功した。あれが抜けていれば確実に1点は持って行かれ、なお二死二塁でピンチが続いていただろう。流れが悪くなり、再逆転されてしまっていたかも知れなかった。
エラーになってしまってもいいから、絶対に、打球に内野は抜かれない。

そのひたむきな守備への思いが、今回のICUの勝利を呼び込んだと言っても過言ではないだろう。















2013年5月6日月曜日

勝って兜の緒を締めよ


5/4 ◇国際基督教大学グラウンド 対帝京科学大学


I C U  100 010 0 ┃2
帝 科    1000 113 0 ┃15 


<試合総括>
国際基督教大学 対 帝京科学大学二連戦の二日目は、帝京科学大学が一日目の雪辱を果たした形となった。ICUは散発三安打。

一日前の歓喜ムードはどこへやら、初回の守りからグラウンドに重たい空気がのしかかった。5つの四死球に4つの失策、そこに4安打を打ち込まれ、気づいてみれば10失点。点差が開くにつれて、内野陣は焦り、外野陣は慎重になりすぎた。

初回の4つの失策のうち3つは内野のエラー。早く一つでも多くのアウトを取りたいと逸る気持ちが、逆に点差を広げることに繋がった。
外野は、一つの落球から、守備位置より前方に落ちてくるフライに慎重になりすぎた。確かに、ミスが許されない場面。突っ込んで行って後逸してしまえばヒット1本で走者一掃、といったことも考えられた場面だ。しかし直接捕球しなければ走者は溜まるばかり。流れもどんどん悪くなる。それならばいっそ、ギャンブルに出る事も必要だったかも知れない。

ICUはこの日、1回の表の攻撃時に鵜飼の激走と正木の正確なバントで先制したが、主導権は、完全に帝科大が握る事となった。ICUはその後、1点を返すことが関の山だった。


<コラム>

屈辱的、という言葉は、この日の戦いを表すには安易すぎるだろうか。
前日にコールド勝ちした相手に、コールド負けを喫する。しかも、前日の自分たちは最少得点差で逃げ切ったのに対して、この日は13点もの得点差をつけられてしまった。しかも、その内10点は一つの回で奪われた。

個々の反省は、各々あると思う。だからここでは、一つだけ、チーム全体の事を反省したい。


「勝って兜の緒を締めよ」

しばらく負けが続いていた中で、連戦の初日を勝てて喜ぶのは、別に悪いことではない。相手に対して良いイメージを持って試合に臨むのも、大いに結構である。しかし、少しでも相手のことを侮ると、このような結果になってくる。

勝ったら、喜ぶ。でも、勝っても、気は抜かない。試合は何が起こるか分からない。

これでICUの負けは3。優勝への道はかなり険しいものとなった。もう負けられない。
だからこそ、1つ勝ったら、そこで気持ちをリセットしよう。

もう、毎試合気持ちを整えて勝利するしか、選択肢は残されていない。


2013年5月4日土曜日

追撃を振り切って

4回、適時三塁打を放つ小林

5/3 ◇国際基督教大学グラウンド 対帝京科学大学

帝 科  000 000 5 ┃5
 I C U      100 712 1 ┃12 (規定により7回コールド)


<試合総括>
国際基督教大学 対 帝京科学大学の2連戦、初戦はICUがコールド白星発進をした。

四回、待望の快音が大砲・小林のバットから響いた。昨年春シーズンにはICUの3部残留を決定づける一打を放った男のバットは、このところ湿り気味だった。そのためこの回も四球で藤原が出塁すると、小林に出されたサインは「送りバント」。ところがバントを決めることができず、ツーバント失敗で追い込まれてしまう。
何としても進塁打が欲しい場面、ヒッティングに切り替え振り抜いた3球目に、一瞬でベンチの「またか」という重いムードが「まじか」という歓声となった。小林の放った打球は外野の頭を越える適時三塁打となり、これがビッグイニングの呼び水となった。

その後ICUは石黒の二塁打でこの回2点目を入れると、四球・進塁打により一死一・三塁の好機を作る。ここも鵜飼がしぶとく内野安打を決めもう1点を追加。なおもランナー一・二塁の場面で正木が四球で出塁し、一死満塁の大チャンスでICUの安打製造機、柚原へと打順が回る。そしてこの男も期待を裏切らなかった。振り抜かれた打球は走者一層のタイムリーとなり、相手のエラーも絡んで自身も生還。この回、一気に7点をあげたICUは完全に試合の主導権を握り、7回に帝科の反撃にあうもそれを振り切り、コールド勝ちに成功した。


<コラム>

この試合は、相手の隙を見逃さない積極的な走塁から流れを作った。
特に、初回の送りバントからがら空きの三塁を陥とした鵜飼の走塁は相手投手の出鼻をくじく勝利への布石となり、最終回に相手守備の隙をついて三塁を陥れた藤原の判断はコールド勝ちにはなくてはならないものだった。
前のコラムにも書いたが、相手チームは必ず何かしらのミスをする。それを見落とさないこの試合のような積極走塁は相手のペースを崩し、自分たちの好機を作る。帝科とのカードは連戦となり体力的・精神的にきついものとなることが予想されるが、持ち前の「積極性」を活かせば、連勝も十分狙えるだろう。



2013年4月29日月曜日

歓喜と消沈の狭間で


4/28 ◇国際基督教大学グラウンド 対東京電気大学


電 気  010 001 204 ┃8
 I C U      000 200 030 ┃5 


<試合総括>

逆転に次ぐ逆転の壮絶な試合に終止符を打ったのは、電気大学だった。

ICUは1点ビハインドの4回、先頭の熊谷が出塁すると、3番・柚原のレフトへの痛烈な当たりが左翼手のミスを誘い、打った彼自身をも生還させる2点適時打となり逆転に成功。流れを引き寄せ、続く5回を無失点に抑えたICUがそのまま逃げ切るかと思われたが、6回、連続四球なども絡み同点に追いつかれてしまう。7回には先頭打者をエラーで出塁させ続く2人を討ち取ったものの、電気大の4番・5番コンビに連続安打を浴び逆に2点のリードを許してしまった。

だが、今年のICUはここで終わらなかった。直後の8回、先頭の正木と続く熊谷が出塁。3番柚原のゴロで一死一・三塁のチャンスを掴んだところでバッターは4番・航。豪快に振り抜いた6球目はライイトオーバーの2点タイムリーツーベースとなった。この後、6番・鵜飼の打球が相手の失策を誘い、もう1点を追加。この回、一挙3得点でまたもICUが1点の勝ち越しに成功した。

しかし、そんな歓喜もつかの間、続く9回にリードを守りきれなかった。電気大にこの回5本の長・短打が飛び出し4点を持って行かれた。ICUは裏の攻撃でサヨナラ勝ちを試み、先頭の小林が四球で出塁、続く石黒がヒットで続き無死一・ニ塁の好機を作った。
しかし、ここで力尽きてしまった。その後の打者を三者三振に抑えられ、あえなく打線が沈黙したICUは電気大に逃げ切りを許してしまった。


<コラム>

非常に悔しい試合となった。リードする場面が2度もあっただけに、勝ち越されて負けるというのはその悔しさをより一層際立たせるものとなった。

しかし、ただ悔しいだけで終わっていては、この試合はただの敗戦になってしまう。リードを守りきれなかった原因をしっかりと探らなければなるまい。

この試合、落としてしまった最大の要因は「不必要な走者を溜めたこと」にあると思う。この日、ICUの放った安打は僅かに3本。それでいて「5得点」できたのは言うまでも無く、相手の失策と四球で好打者の前に走者を溜めることができたからである。逆もまた然りで、この試合で電気大が大量得点した際には、必ず四球、失策が絡んでいる。

ヒットを打たれるのは仕方がない。長打されて失点してしまっても仕方がない。どんなに良い投手も毎試合ノーヒットノーランをやってのける選手はいない。

だからこそ、四球・失策絡みの不必要な走者は、なるべく溜めたくないのである。走者がいない場面で二塁打を打たれても、それはただのツーベース。失点はしない。でももし四球や失策のランナーが一塁にいたら。一・二塁にいたら。満塁だったら...

この試合をもって、今シーズン2勝2敗となった。4部優勝を狙うのであれば、もう負けてはいられない。不必要な走者からの不必要な失点を減らしていき、この試合のように少ないチャンスで得点できれば勝機はある。

この日だって、2回もリードできたのだから。


2013年4月22日月曜日

止まぬ雨、立ち込める寒気。 届かぬ点差


4/20 ◇国際基督教大学グラウンド 対東京海洋大学


海 洋  400 000 302 ┃9
 I C U      000 120 100 ┃4 


<試合総括>
ICU vs 海洋の一戦は、少ないチャンスをものにした海洋大に軍配があがった。
ICU打線は、鵜飼(内野手=背番号6)が2点適時三塁打、スマイリー(外野手=背番号50)が適時二塁打を放って活躍。
ICU先発藤原は7回7失点と不調ぎみ。前回猛打賞の柚原もこの日は1安打とバットが湿っていた。




「投手というのは、皆、多かれ少なかれ、ガラス玉だ。一流になればなるほど、ガラス玉であり、扱いにも苦慮する」

現役時代、多くの投手の球を受けてきた捕手・野村克也氏は「投手」という人間をこう例える。ダイアモンドの中で唯独り、マウンドを守る存在。自分の投球次第で試合の結果が変わってしまう、そんな重圧と闘う存在。強靭な集中力と精神力を持ってこそ、「エース」たりうる存在となる。

だからこそ、試合での寸分のくるいが、「エース」を苦しめることとなる。

初回、藤原の投球が定まらなかった。低めの球がことごとくボール判定となり、無死から二人の打者を歩かせ、続く3・4番に連打を浴び、失点。3つのアウトを取るまでに4つ、点を献上してしまった。その後は6回まで海洋打線に得点させなかった事を考えると、初回の4失点は、何か腑に落ちないものがある。何故、このような事態になったのか。

実は、初回、マウンドにロージンバッグが置かれていなかったのだ。ただでさえ雨が降り、手元が狂う中で滑り止めが無いというのは、投手にしては想定外の出来事だろう。こういった、ちょっとした(というには致命的すぎるかもしれない)ミスが、エースの心のネジを狂わせることになる。繰り返すようになるが、投手は「一流になればなるほど、ガラス玉」なのである。「初回、抑えるぞ」と意気込む投手が出鼻をくじかれるような、このようなミスが精密なコントロールを狂わせてしまう。

野球は、点取りゲームである。相手より多く得点すれば勝てるし、逆に多く失点すれば負けてしまう。言ってしまえば、どの試合でも1得点して先発投手が完封すれば、リーグ優勝だってできてしまうのである。しかしながら、どんなに良い投手だって、毎試合毎試合完封できるわけではない。ならば、周りのチームメイトは何をしなければならないか。それは、エースに気持ち良く投げさせること、そして得点チャンスを活かすことだ。

エースが気持ちよく投げるためには、「ロージンがない」といった凡ミスを無くさなければならない。また、バックの守備がしっかりしている事も大切だ。守備に関して言えば、6回の柚原のダイビングキャッチのような積極的なプレーは投手だけでなく、チーム全体を盛り上げる力がある。野手が各々エースを、そしてチームを盛り立てていかなければならない。

攻撃面は、確かに2回と6回の好機で得点できなかったのは相当な痛手だったが、4回と5回にはスマイリーと鵜飼の適時打で計4点をあげる事には成功している。つまりは、この日、四度あったチャンスの内、二度は得点できていたのだ。得点する形が作れ、また得点できる打者もいる。人材は、整っているのだ。それならば、あともう一度、どこかで好機を捉えられていれば勝機を見出すことができたかも知れない。

ICUは、この日、シーズン初黒星を喫する事となった。しかし、少しのことに気を付けていれば落とさずにいけた試合でもあった。この試合をただの敗戦にするのか、それとも、ここから何かを学び取るのか。「転んでもただでは起きない」、昨シーズン、トニーが教えてくれた戦い方を忘れなければ、この日の記憶は次に活きる「実りある敗戦」になるはずだ。

2013年4月14日日曜日

風林火山 ~侵略する事火の如し~ ICU白星発進

この日10三振を奪った藤原(写真提供=金藤)
4/13 ◇東京海洋大学グラウンド 対電気通信大学

電 通  000 000 00 ┃0
 I C U      102 000 05 ┃7 (規定により8回コールド)


<試合総括>
ICU vs 電通の試合は、チーム安打13本の破壊力を持ったICUが電通に7点差をつけコールド勝ち。
打ってはルーキー柚原が5打数5安打の猛攻を見せ、このシーズンが代替わり前最後となる3年椛島がマルチ安打を記録。2年目の水野、ルーキー正木の両選手も公式戦初安打を放った。
投げては、先発藤原が電通打線を散発3安打に抑え見事完封勝利。


この日のICUの戦いを簡潔に表すとすれば、「風林火山」がぴったりだ。

まず、この試合で印象的だったのが「走塁」である。隙があれば次の塁を狙う。初回に先頭打者の正木が三塁手の暴投を確認するとすかさず二塁を陥としたり、左翼手のミスを見逃さなかった柚原が迷わず二塁へ向かい単打を長打にしたり。相手投手の牽制がうまくないと見た鵜飼の盗塁などは、まさに「疾やきこと風の如し」である。この貪欲に塁を陥とそうとする姿勢が勝利の呼び水となった。

また、この日ICUは久々の完封勝利をおさめたが、それは投手藤原の強靭なメンタリティーなくしては成されなかっただろう。彼は、確かに相手打線に3塁を踏ませなかった。しかしながら4球・盗塁絡みで2塁に走者をすすめたことは何度かあった。ここで電通に得点させなかったのは、彼が得点圏に走者を背負った後も、自分の「間」で打者と勝負をしていたからに他ならない。自身の集中力を切らさない独特の「静止」で相手を討ち取る。「静かなること林の如し」である。

この日ICUはいつに無く打線が繋がった。4回、8回には連打で無死満塁のチャンスを作る場面もあった。昨シーズンまでのおとなしい打線は影を潜め、代わりに相手投手が息をつく暇すら作らない猛獣のような打線が現れた。誰かが塁に出れば、それを帰そうとチームが繋がる。少しでも相手が油断すれば容赦なくホームスチールもしかける。「攻撃的」な新生ICU打線の勢いは「侵略すること火の如し」と言える。

そして、何と言っても守備が分厚くなった。
セカンド・正木、ショート・柚原を筆頭に内野が強化され外野へ抜けていく打球が明らかに減った。今季サードにコンバートとなった石黒は2度の強襲を無難に捌き、藤原のピンチを救った。強い内野陣が背中を守ってくれているというのは、投手を安心させることにも繋がる。どんな攻撃を受けてもびくともしない、そんな鉄壁の守備は、孫子が「動かざること山の如し」と例えたものそのものである。


ICUは今年、非常に強くなった。走攻守すべてにおいて格段にレベルが上がっている。しかし、何か一つ足りないとすれば、それは「意外性」だろう。

「風林火山」には、実は続きがある。「動くこと雷霆の如し」、すなわち「出現は雷のように突然でなければならない」というものである。この日のICUは、あまり「小技を絡める」事をしなかった。結果的にあれだけ打線が繋がれば文句は無いのだが、よく言われるように「打線は水物」、何が起こるかは分からない。打線のレベルが上がったからこそ取組みたいのは、「小技」も含めた攻撃のバリエーションを増やすことだ。それは次に仕掛ける手札が多いほど相手を翻弄でき、またこちらの調子が悪くても勝てる確立が上がるからだ。


今シーズン、「風林火山」の実践こそが4部優勝の鍵となるかも知れない。



2013年4月12日金曜日

いざ、初陣へ

「臥薪嘗胆」という諺がある。 
古の戦士が薪を枕に眠り、苦い肝を舐める事で闘志を燃やし続けたという故事から「将来の成功を目指して鍛錬を積むこと」を意味するのだが、いよいよ国際基督教大学野球部にも雪辱の時がやってくる。

明日、4月13日、ICUの下克上が始まる。

もちろん目標はリーグ制覇、そして昇格。そのためには、明日の初戦を白星で飾り、勢いをつけたいところである。


昨シーズンの悔しさをバネに、そして卒業生から託された想いを胸に、新生チームが今、立ち上がる。


2013年4月11日木曜日

スポリチ、移動しました!


スポリチを読んでくださってる皆様へ、

この度、「スポリチ」はブログコーナーから独立して、自身のリンクを持つことになりました。今年もICU野球部員たちの熱い勇姿を余すところ無くお伝えしてまいりますので、これからも、応援どうぞ宜しくお願いいたします。




スポリチ編集者 三宅 利智