2013年4月29日月曜日

歓喜と消沈の狭間で


4/28 ◇国際基督教大学グラウンド 対東京電気大学


電 気  010 001 204 ┃8
 I C U      000 200 030 ┃5 


<試合総括>

逆転に次ぐ逆転の壮絶な試合に終止符を打ったのは、電気大学だった。

ICUは1点ビハインドの4回、先頭の熊谷が出塁すると、3番・柚原のレフトへの痛烈な当たりが左翼手のミスを誘い、打った彼自身をも生還させる2点適時打となり逆転に成功。流れを引き寄せ、続く5回を無失点に抑えたICUがそのまま逃げ切るかと思われたが、6回、連続四球なども絡み同点に追いつかれてしまう。7回には先頭打者をエラーで出塁させ続く2人を討ち取ったものの、電気大の4番・5番コンビに連続安打を浴び逆に2点のリードを許してしまった。

だが、今年のICUはここで終わらなかった。直後の8回、先頭の正木と続く熊谷が出塁。3番柚原のゴロで一死一・三塁のチャンスを掴んだところでバッターは4番・航。豪快に振り抜いた6球目はライイトオーバーの2点タイムリーツーベースとなった。この後、6番・鵜飼の打球が相手の失策を誘い、もう1点を追加。この回、一挙3得点でまたもICUが1点の勝ち越しに成功した。

しかし、そんな歓喜もつかの間、続く9回にリードを守りきれなかった。電気大にこの回5本の長・短打が飛び出し4点を持って行かれた。ICUは裏の攻撃でサヨナラ勝ちを試み、先頭の小林が四球で出塁、続く石黒がヒットで続き無死一・ニ塁の好機を作った。
しかし、ここで力尽きてしまった。その後の打者を三者三振に抑えられ、あえなく打線が沈黙したICUは電気大に逃げ切りを許してしまった。


<コラム>

非常に悔しい試合となった。リードする場面が2度もあっただけに、勝ち越されて負けるというのはその悔しさをより一層際立たせるものとなった。

しかし、ただ悔しいだけで終わっていては、この試合はただの敗戦になってしまう。リードを守りきれなかった原因をしっかりと探らなければなるまい。

この試合、落としてしまった最大の要因は「不必要な走者を溜めたこと」にあると思う。この日、ICUの放った安打は僅かに3本。それでいて「5得点」できたのは言うまでも無く、相手の失策と四球で好打者の前に走者を溜めることができたからである。逆もまた然りで、この試合で電気大が大量得点した際には、必ず四球、失策が絡んでいる。

ヒットを打たれるのは仕方がない。長打されて失点してしまっても仕方がない。どんなに良い投手も毎試合ノーヒットノーランをやってのける選手はいない。

だからこそ、四球・失策絡みの不必要な走者は、なるべく溜めたくないのである。走者がいない場面で二塁打を打たれても、それはただのツーベース。失点はしない。でももし四球や失策のランナーが一塁にいたら。一・二塁にいたら。満塁だったら...

この試合をもって、今シーズン2勝2敗となった。4部優勝を狙うのであれば、もう負けてはいられない。不必要な走者からの不必要な失点を減らしていき、この試合のように少ないチャンスで得点できれば勝機はある。

この日だって、2回もリードできたのだから。


2013年4月22日月曜日

止まぬ雨、立ち込める寒気。 届かぬ点差


4/20 ◇国際基督教大学グラウンド 対東京海洋大学


海 洋  400 000 302 ┃9
 I C U      000 120 100 ┃4 


<試合総括>
ICU vs 海洋の一戦は、少ないチャンスをものにした海洋大に軍配があがった。
ICU打線は、鵜飼(内野手=背番号6)が2点適時三塁打、スマイリー(外野手=背番号50)が適時二塁打を放って活躍。
ICU先発藤原は7回7失点と不調ぎみ。前回猛打賞の柚原もこの日は1安打とバットが湿っていた。




「投手というのは、皆、多かれ少なかれ、ガラス玉だ。一流になればなるほど、ガラス玉であり、扱いにも苦慮する」

現役時代、多くの投手の球を受けてきた捕手・野村克也氏は「投手」という人間をこう例える。ダイアモンドの中で唯独り、マウンドを守る存在。自分の投球次第で試合の結果が変わってしまう、そんな重圧と闘う存在。強靭な集中力と精神力を持ってこそ、「エース」たりうる存在となる。

だからこそ、試合での寸分のくるいが、「エース」を苦しめることとなる。

初回、藤原の投球が定まらなかった。低めの球がことごとくボール判定となり、無死から二人の打者を歩かせ、続く3・4番に連打を浴び、失点。3つのアウトを取るまでに4つ、点を献上してしまった。その後は6回まで海洋打線に得点させなかった事を考えると、初回の4失点は、何か腑に落ちないものがある。何故、このような事態になったのか。

実は、初回、マウンドにロージンバッグが置かれていなかったのだ。ただでさえ雨が降り、手元が狂う中で滑り止めが無いというのは、投手にしては想定外の出来事だろう。こういった、ちょっとした(というには致命的すぎるかもしれない)ミスが、エースの心のネジを狂わせることになる。繰り返すようになるが、投手は「一流になればなるほど、ガラス玉」なのである。「初回、抑えるぞ」と意気込む投手が出鼻をくじかれるような、このようなミスが精密なコントロールを狂わせてしまう。

野球は、点取りゲームである。相手より多く得点すれば勝てるし、逆に多く失点すれば負けてしまう。言ってしまえば、どの試合でも1得点して先発投手が完封すれば、リーグ優勝だってできてしまうのである。しかしながら、どんなに良い投手だって、毎試合毎試合完封できるわけではない。ならば、周りのチームメイトは何をしなければならないか。それは、エースに気持ち良く投げさせること、そして得点チャンスを活かすことだ。

エースが気持ちよく投げるためには、「ロージンがない」といった凡ミスを無くさなければならない。また、バックの守備がしっかりしている事も大切だ。守備に関して言えば、6回の柚原のダイビングキャッチのような積極的なプレーは投手だけでなく、チーム全体を盛り上げる力がある。野手が各々エースを、そしてチームを盛り立てていかなければならない。

攻撃面は、確かに2回と6回の好機で得点できなかったのは相当な痛手だったが、4回と5回にはスマイリーと鵜飼の適時打で計4点をあげる事には成功している。つまりは、この日、四度あったチャンスの内、二度は得点できていたのだ。得点する形が作れ、また得点できる打者もいる。人材は、整っているのだ。それならば、あともう一度、どこかで好機を捉えられていれば勝機を見出すことができたかも知れない。

ICUは、この日、シーズン初黒星を喫する事となった。しかし、少しのことに気を付けていれば落とさずにいけた試合でもあった。この試合をただの敗戦にするのか、それとも、ここから何かを学び取るのか。「転んでもただでは起きない」、昨シーズン、トニーが教えてくれた戦い方を忘れなければ、この日の記憶は次に活きる「実りある敗戦」になるはずだ。

2013年4月14日日曜日

風林火山 ~侵略する事火の如し~ ICU白星発進

この日10三振を奪った藤原(写真提供=金藤)
4/13 ◇東京海洋大学グラウンド 対電気通信大学

電 通  000 000 00 ┃0
 I C U      102 000 05 ┃7 (規定により8回コールド)


<試合総括>
ICU vs 電通の試合は、チーム安打13本の破壊力を持ったICUが電通に7点差をつけコールド勝ち。
打ってはルーキー柚原が5打数5安打の猛攻を見せ、このシーズンが代替わり前最後となる3年椛島がマルチ安打を記録。2年目の水野、ルーキー正木の両選手も公式戦初安打を放った。
投げては、先発藤原が電通打線を散発3安打に抑え見事完封勝利。


この日のICUの戦いを簡潔に表すとすれば、「風林火山」がぴったりだ。

まず、この試合で印象的だったのが「走塁」である。隙があれば次の塁を狙う。初回に先頭打者の正木が三塁手の暴投を確認するとすかさず二塁を陥としたり、左翼手のミスを見逃さなかった柚原が迷わず二塁へ向かい単打を長打にしたり。相手投手の牽制がうまくないと見た鵜飼の盗塁などは、まさに「疾やきこと風の如し」である。この貪欲に塁を陥とそうとする姿勢が勝利の呼び水となった。

また、この日ICUは久々の完封勝利をおさめたが、それは投手藤原の強靭なメンタリティーなくしては成されなかっただろう。彼は、確かに相手打線に3塁を踏ませなかった。しかしながら4球・盗塁絡みで2塁に走者をすすめたことは何度かあった。ここで電通に得点させなかったのは、彼が得点圏に走者を背負った後も、自分の「間」で打者と勝負をしていたからに他ならない。自身の集中力を切らさない独特の「静止」で相手を討ち取る。「静かなること林の如し」である。

この日ICUはいつに無く打線が繋がった。4回、8回には連打で無死満塁のチャンスを作る場面もあった。昨シーズンまでのおとなしい打線は影を潜め、代わりに相手投手が息をつく暇すら作らない猛獣のような打線が現れた。誰かが塁に出れば、それを帰そうとチームが繋がる。少しでも相手が油断すれば容赦なくホームスチールもしかける。「攻撃的」な新生ICU打線の勢いは「侵略すること火の如し」と言える。

そして、何と言っても守備が分厚くなった。
セカンド・正木、ショート・柚原を筆頭に内野が強化され外野へ抜けていく打球が明らかに減った。今季サードにコンバートとなった石黒は2度の強襲を無難に捌き、藤原のピンチを救った。強い内野陣が背中を守ってくれているというのは、投手を安心させることにも繋がる。どんな攻撃を受けてもびくともしない、そんな鉄壁の守備は、孫子が「動かざること山の如し」と例えたものそのものである。


ICUは今年、非常に強くなった。走攻守すべてにおいて格段にレベルが上がっている。しかし、何か一つ足りないとすれば、それは「意外性」だろう。

「風林火山」には、実は続きがある。「動くこと雷霆の如し」、すなわち「出現は雷のように突然でなければならない」というものである。この日のICUは、あまり「小技を絡める」事をしなかった。結果的にあれだけ打線が繋がれば文句は無いのだが、よく言われるように「打線は水物」、何が起こるかは分からない。打線のレベルが上がったからこそ取組みたいのは、「小技」も含めた攻撃のバリエーションを増やすことだ。それは次に仕掛ける手札が多いほど相手を翻弄でき、またこちらの調子が悪くても勝てる確立が上がるからだ。


今シーズン、「風林火山」の実践こそが4部優勝の鍵となるかも知れない。



2013年4月12日金曜日

いざ、初陣へ

「臥薪嘗胆」という諺がある。 
古の戦士が薪を枕に眠り、苦い肝を舐める事で闘志を燃やし続けたという故事から「将来の成功を目指して鍛錬を積むこと」を意味するのだが、いよいよ国際基督教大学野球部にも雪辱の時がやってくる。

明日、4月13日、ICUの下克上が始まる。

もちろん目標はリーグ制覇、そして昇格。そのためには、明日の初戦を白星で飾り、勢いをつけたいところである。


昨シーズンの悔しさをバネに、そして卒業生から託された想いを胸に、新生チームが今、立ち上がる。


2013年4月11日木曜日

スポリチ、移動しました!


スポリチを読んでくださってる皆様へ、

この度、「スポリチ」はブログコーナーから独立して、自身のリンクを持つことになりました。今年もICU野球部員たちの熱い勇姿を余すところ無くお伝えしてまいりますので、これからも、応援どうぞ宜しくお願いいたします。




スポリチ編集者 三宅 利智