2013年4月14日日曜日

風林火山 ~侵略する事火の如し~ ICU白星発進

この日10三振を奪った藤原(写真提供=金藤)
4/13 ◇東京海洋大学グラウンド 対電気通信大学

電 通  000 000 00 ┃0
 I C U      102 000 05 ┃7 (規定により8回コールド)


<試合総括>
ICU vs 電通の試合は、チーム安打13本の破壊力を持ったICUが電通に7点差をつけコールド勝ち。
打ってはルーキー柚原が5打数5安打の猛攻を見せ、このシーズンが代替わり前最後となる3年椛島がマルチ安打を記録。2年目の水野、ルーキー正木の両選手も公式戦初安打を放った。
投げては、先発藤原が電通打線を散発3安打に抑え見事完封勝利。


この日のICUの戦いを簡潔に表すとすれば、「風林火山」がぴったりだ。

まず、この試合で印象的だったのが「走塁」である。隙があれば次の塁を狙う。初回に先頭打者の正木が三塁手の暴投を確認するとすかさず二塁を陥としたり、左翼手のミスを見逃さなかった柚原が迷わず二塁へ向かい単打を長打にしたり。相手投手の牽制がうまくないと見た鵜飼の盗塁などは、まさに「疾やきこと風の如し」である。この貪欲に塁を陥とそうとする姿勢が勝利の呼び水となった。

また、この日ICUは久々の完封勝利をおさめたが、それは投手藤原の強靭なメンタリティーなくしては成されなかっただろう。彼は、確かに相手打線に3塁を踏ませなかった。しかしながら4球・盗塁絡みで2塁に走者をすすめたことは何度かあった。ここで電通に得点させなかったのは、彼が得点圏に走者を背負った後も、自分の「間」で打者と勝負をしていたからに他ならない。自身の集中力を切らさない独特の「静止」で相手を討ち取る。「静かなること林の如し」である。

この日ICUはいつに無く打線が繋がった。4回、8回には連打で無死満塁のチャンスを作る場面もあった。昨シーズンまでのおとなしい打線は影を潜め、代わりに相手投手が息をつく暇すら作らない猛獣のような打線が現れた。誰かが塁に出れば、それを帰そうとチームが繋がる。少しでも相手が油断すれば容赦なくホームスチールもしかける。「攻撃的」な新生ICU打線の勢いは「侵略すること火の如し」と言える。

そして、何と言っても守備が分厚くなった。
セカンド・正木、ショート・柚原を筆頭に内野が強化され外野へ抜けていく打球が明らかに減った。今季サードにコンバートとなった石黒は2度の強襲を無難に捌き、藤原のピンチを救った。強い内野陣が背中を守ってくれているというのは、投手を安心させることにも繋がる。どんな攻撃を受けてもびくともしない、そんな鉄壁の守備は、孫子が「動かざること山の如し」と例えたものそのものである。


ICUは今年、非常に強くなった。走攻守すべてにおいて格段にレベルが上がっている。しかし、何か一つ足りないとすれば、それは「意外性」だろう。

「風林火山」には、実は続きがある。「動くこと雷霆の如し」、すなわち「出現は雷のように突然でなければならない」というものである。この日のICUは、あまり「小技を絡める」事をしなかった。結果的にあれだけ打線が繋がれば文句は無いのだが、よく言われるように「打線は水物」、何が起こるかは分からない。打線のレベルが上がったからこそ取組みたいのは、「小技」も含めた攻撃のバリエーションを増やすことだ。それは次に仕掛ける手札が多いほど相手を翻弄でき、またこちらの調子が悪くても勝てる確立が上がるからだ。


今シーズン、「風林火山」の実践こそが4部優勝の鍵となるかも知れない。



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