2013年4月22日月曜日

止まぬ雨、立ち込める寒気。 届かぬ点差


4/20 ◇国際基督教大学グラウンド 対東京海洋大学


海 洋  400 000 302 ┃9
 I C U      000 120 100 ┃4 


<試合総括>
ICU vs 海洋の一戦は、少ないチャンスをものにした海洋大に軍配があがった。
ICU打線は、鵜飼(内野手=背番号6)が2点適時三塁打、スマイリー(外野手=背番号50)が適時二塁打を放って活躍。
ICU先発藤原は7回7失点と不調ぎみ。前回猛打賞の柚原もこの日は1安打とバットが湿っていた。




「投手というのは、皆、多かれ少なかれ、ガラス玉だ。一流になればなるほど、ガラス玉であり、扱いにも苦慮する」

現役時代、多くの投手の球を受けてきた捕手・野村克也氏は「投手」という人間をこう例える。ダイアモンドの中で唯独り、マウンドを守る存在。自分の投球次第で試合の結果が変わってしまう、そんな重圧と闘う存在。強靭な集中力と精神力を持ってこそ、「エース」たりうる存在となる。

だからこそ、試合での寸分のくるいが、「エース」を苦しめることとなる。

初回、藤原の投球が定まらなかった。低めの球がことごとくボール判定となり、無死から二人の打者を歩かせ、続く3・4番に連打を浴び、失点。3つのアウトを取るまでに4つ、点を献上してしまった。その後は6回まで海洋打線に得点させなかった事を考えると、初回の4失点は、何か腑に落ちないものがある。何故、このような事態になったのか。

実は、初回、マウンドにロージンバッグが置かれていなかったのだ。ただでさえ雨が降り、手元が狂う中で滑り止めが無いというのは、投手にしては想定外の出来事だろう。こういった、ちょっとした(というには致命的すぎるかもしれない)ミスが、エースの心のネジを狂わせることになる。繰り返すようになるが、投手は「一流になればなるほど、ガラス玉」なのである。「初回、抑えるぞ」と意気込む投手が出鼻をくじかれるような、このようなミスが精密なコントロールを狂わせてしまう。

野球は、点取りゲームである。相手より多く得点すれば勝てるし、逆に多く失点すれば負けてしまう。言ってしまえば、どの試合でも1得点して先発投手が完封すれば、リーグ優勝だってできてしまうのである。しかしながら、どんなに良い投手だって、毎試合毎試合完封できるわけではない。ならば、周りのチームメイトは何をしなければならないか。それは、エースに気持ち良く投げさせること、そして得点チャンスを活かすことだ。

エースが気持ちよく投げるためには、「ロージンがない」といった凡ミスを無くさなければならない。また、バックの守備がしっかりしている事も大切だ。守備に関して言えば、6回の柚原のダイビングキャッチのような積極的なプレーは投手だけでなく、チーム全体を盛り上げる力がある。野手が各々エースを、そしてチームを盛り立てていかなければならない。

攻撃面は、確かに2回と6回の好機で得点できなかったのは相当な痛手だったが、4回と5回にはスマイリーと鵜飼の適時打で計4点をあげる事には成功している。つまりは、この日、四度あったチャンスの内、二度は得点できていたのだ。得点する形が作れ、また得点できる打者もいる。人材は、整っているのだ。それならば、あともう一度、どこかで好機を捉えられていれば勝機を見出すことができたかも知れない。

ICUは、この日、シーズン初黒星を喫する事となった。しかし、少しのことに気を付けていれば落とさずにいけた試合でもあった。この試合をただの敗戦にするのか、それとも、ここから何かを学び取るのか。「転んでもただでは起きない」、昨シーズン、トニーが教えてくれた戦い方を忘れなければ、この日の記憶は次に活きる「実りある敗戦」になるはずだ。

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